「ウィル銀河史」とは?

「ウィル銀河史」とは?

※この記事に書かれている記述は一部レジェンド設定に属するものがあり、今後設定が変更になる可能性があります※

「ウィル銀河史」という日本語表記について

スター・ウォーズの世界観を語る上で欠かせないのが「ウィル銀河史」の話です。
「ウィル銀河史」は従来、「ホイルス銀河史」と呼ばれて来ました。しかし、英語表記 Journal of Whills のうち最後の s は複数形だと考えられ、また「ホイル」より「ウィル」のほうがより発音としても近いと考え、当サイトでは「ウィル銀河史」という呼称を採用します。

スター・ウォーズの草案

ジョージ・ルーカスによるスター・ウォーズの初期の構想は、1973年、映画公開4年前に「ウィル銀河史 第1話」(The Journal of the Whills, Part I)という2ページの手書きの原稿にまとめられました。
そう、「ウィル銀河史」という言葉はスター・ウォーズの構想初期から存在していた言葉だったのです。
なお、このときの主人公はジェダイ・ベンドゥの「メイス・ウィンディ」(Mace Windy)で、弟子の「チューイー・トゥー・ソープ」(Chuiee Two Thorpe)というパダワーン(Padawaan)とともに冒険していくといった話のようです。このあたりも色々と設定があるのですが、長くなるので詳細はまた後日別の記事で書きたいと思います。

また、その後より話が具体的になり、変化していく過程の1974~1975年頃(映画公開2~3年前)に書かれた「スターキラーの冒険」(ADVENTURES OF THE STARKILLER)は、以下の文章から始まります。

“… And in the time of greatest
despair there shall come a savior,
and he shall be known as:
THE SON OF THE SUNS.”
Journal of the Whills, 3:127

【当サイトによる訳】
そして、この上ない絶望の時代に救世主が現れ、彼は太陽の子と呼ばれるであろう。
ウィル銀河史 3章127節

このころは主人公の名前が「ルーク・スターキラー」(Luke Starkiller)で、「スカイウォーカー」(Skywalker)というキャラクターはまた別にいました。つまり、映画スター・ウォーズとは全体的に設定も異なるところが多いのです。

そして、1976年頭にできた次の原稿「スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望(ウィル銀河史より)」(STAR WARS Episode IV A NEW HOPE From the JOURNAL OF THE WHILLS)では、主人公は「ルーク・スカイウォーカー」(Luke Skywalker)に落ち着き、冒頭の文章も上記のものから「遠い昔、遥か彼方の銀河で…」(A long time ago, in a galaxy far, far, away…)となり、最終的に映画で使われる「A long time ago in a galaxy far, far away….」とほぼ同じものに変更になっています。

そうなると、ご存知の通り、最終的には映画タイトルからも「Journal of Whills」は消えてしまうわけなので、もはや「ウィル銀河史」は最終案からは消えてしまったようにも思えます。

ところが、あるところで上記の文章が残りました。それは当時映画公開に先駆けて発売された「スター・ウォーズ 新たなる希望」の小説版です。この小説版、皇帝が官僚に操られるほぼ権力のない存在となっていることなど、一部は後の映画と食い違うところもあります。しかし、基本的なストーリーは映画第一作とほぼ同じです。

スター・ウォーズはR2-D2の記録がウィル銀河史に収録されたものである

「ウィル銀河史」は、「草案や小説版の冒頭でちょっと触れられているだけの裏設定」ではありません。実はスター・ウォーズのストーリーを理解する上で、「ウィル銀河史」の上記の文章は重要な意味を持っているのです。
では、「ウィル銀河史」とは何でしょうか?
これは実は、長い間、わかりませんでした。何かよくわからないが、スター・ウォーズの話は「ウィル銀河史」に書かれているらしい。そんな位置付けでした。しかし、近年、少しずつその謎が明らかになりつつあります。
まず、ウィル銀河史とは、銀河で起こった重要な出来事を記録している歴史書のようなものらしいということ。そして、R2-D2が記録した情報が「ジェダイの帰還」からおよそ100年後にウィル銀河史に書き加えられたということがわかっています。
これらは「シスの復讐」のメイキング本におけるジョージ・ルーカスへのインタビュー等から明らかになったものです(今後設定が変更になる可能性はありますが、少なくともルーカスはそのように考えていました)。

では、「ウィル」とは何なのか?

Journal of Whills の日本語訳が「ウィル銀河史」(当サイト外では通称「ホイルス銀河史」)であるため、たまに勘違いする人がいるのですが、「ウィル銀河」(ホイルス銀河)というものが存在するわけではありません。あくまで journal を「銀河史」と訳しているだけです(スター・ウォーズの銀河の住人が自身の銀河を何と呼んでいるのかは、不明です)。
さらに余談ですが、たまに映画の最初に出てくる例の文を「遠い昔、遥か彼方の銀河で…」と訳していることがありますが、「銀河系」というと私たちのいる、この地球のある銀河(=天の川銀河)を指すので、これは間違いで「遠い昔、遥か彼方の銀河で…」が正解です。

さて、ではウィルが何なのかという話ですが、これについては長い間様々な説がありました。そして、近年少しずつその実体が明らかになってきました。
まず「ウィル」というのは種族名であるということがわかっています。その姿はいまだ謎ですが、一説によるとヨーダの種族名が実は「ウィル」なのではないかという話があります。実はヨーダの種族名は不明なんですね。しかし、ルーカスはこの説を否定しています。
また、ウィルの古(いにしえ)のオーダー(Ancient Order of the Whills)という集団がウィル銀河史を管理しているということも明らかになっています。どういう集団なのかは、謎です。
さらに、ウィルのシャーマンと呼ばれるフォースと強い繋がりを持った人々(?)がいて、肉体の死後も生き続ける方法を知っているらしいということもわかっています。
そう、死後に霊体化するジェダイの秘密は、実はウィルのシャーマン(祈祷師)と強い関係があるのです。霊体化の謎についてはクローン・ウォーズのシーズン6(ロスト・ミッション)でまた新しい展開が出てきているので、それらを織り込んでまた別の記事に書きますが、ウィルのシャーマンたちは、ほとんどのジェダイが知らないフォースの秘密を知っているようです。

エピソード1~3で触れられる「予言」との関連

ところで、エピソード1でクワイ=ガン・ジンがアナキン・スカイウォーカーのことを「フォースに調和をもたらす者」(the one who will bring balance of the Force)あるいは「選ばれし者」(the chosen one)などと呼んでいます。両者とも同じ意味だと考えられていますが、さてこれはどういう意味なのでしょうか?
ここでちょっと思い返していただきたいのが、「ウィル銀河史 3章127節」です。再掲します。

“… And in the time of greatest
despair there shall come a savior,
and he shall be known as:
THE SON OF THE SUNS.”
Journal of the Whills, 3:127

【当サイトによる訳】
そして、この上ない絶望の時代に救世主が現れ、彼は太陽の子と呼ばれるであろう。
ウィル銀河史 3章127節

これ、予言じゃないですか? 予言ですよね?
つまり、エピソード1~3でジェダイがよく話している「予言」とは何なのか?という答えの一部が、このスター・ウォーズの草案にあった「ウィル銀河史 3章127節」にあるのではないかと考えられるのです。
つまり「ウィル銀河史 3章127節」に書かれている「太陽の子」(THE SON OF THE SUNS)とジェダイたちが語っていた「フォースに調和をもたらす者」は同じものである可能性が高いのです。

実は映画に登場している「太陽の子」というセリフ

ところで「太陽の子」(THE SON OF THE SUNS)って、どういうことなんでしょうか?
よく見ると「SUNS」……太陽が複数形になっていますね。アナキン&ルーク・スカイウォーカーの生まれた惑星タトゥーインには、太陽が2つあります
もはや言うまでもないですが、「太陽の子」はアナキン・スカイウォーカーあるいはルーク・スカイウォーカーのいずれかを指していると考えられています。特に、双子の太陽があるタトゥーインの地でシミ・スカイウォーカーの処女懐妊によって生まれたアナキン・スカイウォーカーは、ヨーダをも上回る非常に高いミディ=クロリアン指数を示し、強力なフォースを備えておりいかにも「太陽の子」らしい存在です。ライト・サイドとダーク・サイドの両者を経験したこと、あるいは最後に皇帝パルパティーンを倒し、最後のシスを打破したことから、「フォースに調和をもたらした」とも言えそうです。
実は、劇中で2度「太陽の子」(THE SON OF THE SUNS)」というセリフが登場するシーンがあります。ひとつは、エピソード1「ファントム・メナス」の最後のパレードのシーン。パレードのシーン開始10秒ほどのところから「(THE) SON OF THE SUNS」と数度叫ぶ声が聞こえます。「太陽の子が見つかったぞ!」という意味なのかもしれません。
もうひとつは、エピソード6「ジェダイの帰還(復讐)」特別篇で追加されたコルサントのシーンです。皇帝が死に、人々が喜んでいる中で鐘の音とともに「(THE) SON OF THE SUNS」と叫んでいるのが聞こえます。そのあとのエンドアのシーンでも、ルークがハンとレイアのもとに戻り、オビ=ワン、ヨーダ、アナキンの霊体が現れるまで「(THE) SON OF (THE) SUNS」と叫んでいる声が何度も聞こえるように思えます。これが何を意味するのかはっきりと答えが示されているわけではありませが、私はこれはつまり「太陽の子がフォースに調和をもたらした」という意味ではないかと考えています。

おわりに

色々と書きましたが、「太陽の子」がルークなのかアナキンなのか、「フォースの調和」とは何を示しているのか、様々な説があります。
また今後エピソード7~9で新しい展開があるかもしれません。
ただエピソード1~3でやたらと出てくる「選ばれし者」「予言」などの言葉が、実は約40年前に書かれたスター・ウォーズの草案にまで遡ると少しだけ紐解くことができる、というお話でした。